今回は結論を先に。
「絶景!、爽快!、そして達成感。(だけど、かなり怖かった・・。)」
さて、前回(藤原岳)、前々回(御池岳)と鈴鹿山脈北部の山を巡りました。両者ともに山頂がなだらかな地形で、石灰岩特有のカルスト地形を持つ特徴的で印象深い山でした。
かなり秋も深まり平地でも木々が色づいています。きれいな紅葉を見てみたいなあとおもいつつ、県別ガイドブック(山と渓谷社)をパラパラめくっていると、真っ赤な紅葉の美しい山の写真がありました。
仙ヶ岳 です。
写真に一目ぼれして解説を読み進めると若干不安が・・・。以下同上ガイドより引用。
「今回紹介する南尾根は御在所岳中道とともに、鈴鹿屈指の好展望と高度感が味わえるコースである。
好展望は良いのですが、「御在所岳中道」と「高度感」の文字にかなりの不安がよぎります。
以前、御在所岳中道で、こっぴどくやられていましたのでどうしたものだかと思いましたが、ここは決心して入念に準備することにしました。
仙ヶ岳は鈴鹿山脈の中では南端に近く、以前椿大神社から登った入道ヶ岳より奥まったところにあります。
登りは南尾根コース、下りは白谷道を使う予定としました。
いよいよ、当日 仙ヶ岳へ
国道306号線から、県道302号線を石水渓に向けて車で西へ向かいました。新名神高速道路の下をくぐります。くぐったらすぐ、というか、ほぼ高架の真下に登山道の案内版があり、そこを右折しました。
道は狭く注意が必要でした。御茶畑の真ん中を通過しさらに奥に進みます。左側の石谷川に沿って道がつけられています。さらに進むと広場があり、そこから先は通行止めのロープがかかっていますので、車で入れるのはそこまででした。合計5~6台は停めることができそうな印象でした。
ちょうど駐車場の位置からすぐのところには石谷川をせき止めている堰堤がありました。車を降りると沢の音が聞こえます。
右奥には、見えにくいですがロープが張られておりここから先は、車両は入れません。↑
看板を拡大。↑「落石多数発生中!大変危険です。」・・・かなりビビります。だいじょうぶなのか・・・。
駐車場から、見上げると尖った岩の山がみえました。↓
何も知らずに写真を撮ったのですが、後でこの山は「鬼ヶ牙」という名前であることが分かりました。
気を引き締めて登山道に向かいます。9:20頃行動開始です。
しばらくは平坦な林道です。左側の石谷川の川の流れの音を聞きながら進みます。
この林道、ところどころ崩落して大きな岩が道をふさいでいることもあります。↑。
確かに豪雨の後などはさらに落石の危険があると思われます。
沢を渡る木の橋(やや朽ちています。)を渡ると、分岐部に至ります。
登りには「南尾根」を、くだりには「白谷道」を使います。↑。
↑;このような標識が要所要所にあり、迷うことは少なそうです。
石で積み上げられた石垣状の構造物↑や、窪み状の構造物↓がところどころに散在しています。
これは、昔の「炭焼きの窯」の跡だそうです。昔の人が、伐採し、ここで木炭を作っていたんですね。
不動明王の分岐の前は、かなり傾斜がきついです。上の写真はぶれているしわかりにくいのですが、ロープがジグザグに張られています。落ち葉の存在でより滑りやすい状態です。
何とか登りきると「不動明王分岐」に到着します。
目指すは、左の山頂ですが、不動明王像に寄って行きます。分岐から数分(もかからないぐらい)です。
本当は正面から写真に収めたかったのですが、石像の正面は、崖になっておりビビってこれが限界・・・。
なお、この石像は江戸時代に近くの「野登山(ののぼりやま)」の僧侶の指示で彫られたそうです。
元の道に戻って南尾根に向かいます。
分岐から少し進んだところにいきなりの絶壁+ロープ。腕力任せで何とかクリアするも「嫌な予感」的中な感じがします。
さらに進むと視界が開けてきます。振り返るとこんな感じです。↓。新名神高速が東西にわたってるのが良くわかります。
岩むき出し、かつ狭い尾根の登っては下りの繰り返しが続きます。
右側には「野登山(ののぼりやま」が見えます。↑
南尾根からいくつかある目立つピーク(下からP3,P2,P1等と命名されているようです。)。これはP3なのか??
これを見た時には、まさかこれを登るとは思っていませんでした。
「きっと、あの岩のピークを避ける脇道があるんだろうなあ。(というかあるに違いない。)」と甘くかんがえていました。
振り返ってみる景色も徐々に高度が上がってきます。新名神も遠くになってきました。↑。
さて南尾根の前半を息もきれぎれ登っていると、おひとりかなり年配の男性が後ろから登ってこられました。簡単に追いつかれ、追い抜かれてしまいました。岩だらけの狭い足場をゆっくりながら確実に登って行かれます。なんというか、「迷いがない」感じでした。初心者の自分の様にどこに足を置こうかという迷いがなく、自然にスルスルと登っていかれます。
一度は抜かされたのですが、その方が座って休憩されているところで何とか追いつくことができました。その方が曰く、「今年の紅葉は全くだめ。9月の長雨・日照不足がだめだったのかなあ。」と。紅葉目的で来た自分としては少しがっかりな話でした。
そばの木を指さしながら、「例年ならその木は、真っ赤できれいなんだ。」と。つまり、やっぱり登り慣れたベテランさんなのだとわかりました。自分も少しその場で休憩。
その後、その方は再び先に行かれました。しばらくして、ふと上を見上げると、まさか登ると思わなかった遠くの岩の塊の合間を、スルスル・ヌルヌルとまさに「滑らかに」登ってあっという間に消えていかれました。凄い・・・。
さて、気を取り直して登山再開です。
↓;こんなの登れるかよっ!! と愚痴りながらも進むのみです。
尾根から左側をみると、御所平 が見えます。
↓;少しでも絶壁感のある写真を撮りたいのですが、あまりこれでは「恐怖感」は伝わりにくいですね・・・。
こんな感じで、尖った岩を手でつかみ、登っては下りを何度か繰り返すと、ようやく仙ヶ岳 東峰 に到着しました。
仙ヶ岳で有名な「仙の石」です。↑ 絶妙なバランスです。
南尾根からきて、仙ヶ岳に向かっています。仙鶏尾根へ向かうと「野登山」へ至ります。
一旦、少し下って、再び登ると仙ヶ岳(西峰)に到達。ここで昼食にしました。13時でした。
仙ヶ岳(西峰)から、苦労して登ってきた南尾根のピークたちを眺めます。↑。
我ながらよくあんな尖ったところ通ってくることができたなあと少し感動です。奥の伊勢平野、伊勢湾もきれいに見渡せます。
山頂から登ってきた方向を振り返ると、その先には、御在所岳、鎌ヶ岳が見えます。↓。
山頂へは東から登ってくるのですが、そのまま西に向かう道(御所平に通じる)が伸びています。↓
もう一回、山頂から眺める南尾根の一枚です。↓ 繰り返しですが、「高度感」は抜群の「南尾根」ルートでした。
抜群の景色を眺めていたいところですが、時間もかなり押してます。
下山です。先ほどの東峰の分岐に向けて下っていくと、途中で右の谷(白谷)に降りる道があります。
岩がゴロゴロする谷を下っていきます。赤テープや、要所にある標識をたどって下っていきます。
↑;沢を下ります。よく見ると木に赤テープがぶら下がっています。
だいぶん下ったところで沢の左岸の登山道が岩でふさがっていました。
はしご(といっても、アルミ製の脚立を二個合体させた簡易的なもの)を下って谷に降りて、崩落部分をバイパスして、再びはしごで登ります。
一応、ワイヤーやロープで固定されているのですが、ギシギシ言うしグラグラです。↑
南尾根の次位に怖かった・・・。
少し歩くと、昔の営林署跡を通り、登りの際に通った分岐までたどり着きました。あとは、来た道をたどるだけでした。
無事、駐車場に戻ると日が傾きつつありました。15:30でした。
三重 仙ヶ岳 の感想と反省
登山初心者かつ高所恐怖症の自分としては、「ああ、怖かった。」が、一番の感想です。
が、もしかするとそれ以上に達成感や爽快な後味のよい疲労感も味わえました。
本当は、真っ赤に染まった紅葉の仙ヶ岳を求めての登山でしたが、紅葉はなくとも十分魅力あふれる山でした。
歴史を感じる炭焼き場、不動明王の石像、登っては下りの繰り返しの南尾根のピーク群、山頂からの抜群の眺望、白谷道の沢の雰囲気・・・等々。
周辺の御所平・野登山にも機会があれば登ってみたいと思いました。